労働法の基礎知識~就業規則、労働協約、労働契約などの違い
労働条件に関する取り決めを定める方法には、就業規則、労働協約、労働契約などがあります。これらの単語を聞いたことがあっても、違いがいまいち分からないという人も珍しくありません。それぞれは全て別個の概念であり、効力関係も存在します。
まず、効力関係ですが、下記のようになります。
法令>労働協約>就業規則>労働契約
法令が一番強い効力を持つことは当然として、法令より下はこういった順序となります。なぜこうした順序があるのかといいますと、下記のような性質の違いがあるからです。
労働協約
労働協約は、労働組合と使用者との間で締結される協定のことをいいます。
就業規則
就業規則は、使用者が過半数労働組合又は、過半数代表者の意見を聞いて作成するものです。
労働契約
労働契約は、個々の労働者と使用者の間で締結された労働条件に関する契約です。労働協約は、労働組合が団体交渉などによって締結したものですので、個々の労働者が締結した労働契約よりも、効力が強いということです。
労働契約や就業規則に定められた基準に達しない労働契約
労働契約の内容が労働協約や就業規則に定められた基準に達していない場合には、その問題部分が無効となります。これは部分無効自動引き上げというものです。
このような労働契約そのものが無効になってしまうと、労働契約がないものとなってしまい、結果的に労働者が不利益を被ることとなってしまいますので、こうした考え方がとられています。
例えば、就業規則において週休2日と定められているのに、労働契約が週休1日となっている場合には、週休2日で雇い入れられたと解されます。